ファールボールで失明

 先日、札幌ドームで野球観戦していた女性が、ファウルボールが目に当たり失明したとして、球場や球団、市を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁が3者側に4190万円の支払いを命じる判決が出ました。この記事を見て私は直ぐに、日本よりももっとフィールドと観客席が近く、臨場感のある球場を作っている訴訟大国の米国ではどうなのだろうと調べましたら、予想とはちょっと違った判決が出ていました。米国では「ベースボールルール」という解釈があり、バットやボールが飛んでくる危険性を理解したうえで観戦するといった、法律用語でいう「危険の引受」をしている前提での観戦なので、球団や球場側が敗訴することはないようなのです。要は臨場感あふれる場所での観戦の自由があるのなら、危険な場所以外での観戦も自由であるという考えです。但しこのルールはあくまでも「野球観戦中」のルールであり、例えば試合前の練習中など野球観戦に集中しない状態での危険負担は球団側にあるようです。
 この事故において、失明された女性は不運でお気の毒であったと思います。ただ、この判決が将来的に球団側敗訴で確定されたならば、法的に今の球場の安全対策が不備と判断されたことになります。そうなると今以上に観客席はグラウンドと遠ざかるか、全席ネットを張り巡らさなければなりません。また、それ以上に観客が楽しむ行為(ウェーブや風船飛ばしや飲酒など)も安全性を考えて球団側が規制することも考えられます。更に今の観客席の前後高低差では安全性が確保できないと判断されるなら、高低差の少ない段差に改良された結果、前の席の人の頭でゲームがとても見づらいなどの弊害が発生することも容易に考えられます。
 要は、自身が楽しむ為に、どこまで自己責任をもつのかという事が重要なのではないでしょうか・・・。