辛坊治郎さん

 先日、ニュースキャスターの辛坊治郎さんと全盲のセーラー岩本光弘さんのヨットでの太平洋横断は、マッコウクジラとの衝突によってヨットが沈没し、救助されるという結果に終わりました。こういった冒険は、登山などもそうですが、チャレンジすることで、成功すれば一躍時の人に、失敗すれば無謀だったとか多くの人に迷惑かけたとかと非難されます。また成功しても、準備段階から多くの人の協力と多大な金銭の出費を伴いますが、失敗すればそれに加えて救助活動にかかわる多くの方々へご迷惑や、それに伴う多大な費用なども上乗せされ、ましてやその費用が税金などから支出されようものなら、税金の無駄使いなどと非難されたりします。  
 これに限らず、こういった世間をお騒がせする出来事に対する世の中の反応は、私が今まで見る限りにおいて、その本人たちが反省すればするほど世間の声は厳しく、逆に開き直っていればいるだけ直ぐに話題にならなくなったりします。これは、芸能界や政界でも同じことで、不祥事を起こした当事者が初めから反省していたり、また非難されて反省の色を見せた途端に非難の強さが増します。逆に非難されても我関せず的な態度をとっていると、最初は非難されますが、その内世間は諦め、本人は何事もなかったかのようにその座に居座ったりすぐに復帰したりします。  
 そう考えますと不祥事を起こした場合、誠意ある対応を真摯に行うよりも、全く反省のない非常識な対応をとったほうが「得」だという見方もあるかもしれません。しかしそれは、相手に聞く耳があるから、また二度と起こさないように注意するつもりがあるから、世間は全く聞く耳を持たぬ相手よりも厳しく対応するのだと思います。それは決して人間の本性からくる「弱いものいじめ」とは違うものだと、信じたいものです・・・。