人の噂も75日

 
 人間というものは他の動物には絶対に存在しない思考や行為を行う生き物でありますが、その中でも良いほうではなく、悪いほうの人間の性に「噂話」なるものが存在します。本当に人間というのは仕方がない生き物のようで、「してはいけない、するべきではない」といった行為ほど無性にしたくなるように仕組まれているようで、特に他人の事になると俄然興味が湧き何かと噂話をしています。しかしそれも内容次第で、他人にとって良かった話や美談などはあまり興味をもって話さないのに対し、人の不幸話や失敗話などは瞳孔を広げてまで聞き入るためか、瞬く間に広がっていきます。  
 そんな噂話というのは、意外にもその当人や関係者にはあまり伝わらないような仕組みができているようで、当人たちはそんなことを周りで話されていることなど知る由もない等といったことも多々あります。それが何らかの偶然や忠告などによって当人たちがそれを知った途端、恥ずかしくて外出もできないとか、世間に顔向けできないとか色々と考え込み、果てには精神的に病んだり、最悪は自殺などに追い込まれることも少なくありません。しかしよく考えてみれば人の噂話などというのは、誰もがトコトン悪意を込めて話している訳もなく、ましてや本当に軽い気持ちでしか話していないにも拘らず、当人は最も深く考え込んで落ち込みます。  
  「人の噂も75日」と言われています。無責任な人の噂は二か月もすれば誰も話さないことを考えれば、そんなに深く考え込む必要がないことに気づきます。また、自分が思っているよりも世間は自分の事に興味はありません。それは当たり前で逆の立場で考えたらそれがはっきりとわかります。自分が逆の立場の時にそんなに興味のないことについて噂をしたことを、どれだけ思い起こせるかで救われることも多くありそうです・・。