欧米並み

 民主党政権が誕生する前は、個人的には大変失礼ながら、民主党に政権交代能力など期待していませんでした。しかし今あらゆるところで良くも悪くも既成事由を壊そうとしている姿勢は、個人的にはプラスに映っています。「増税よりも無駄を無くす」ことや「不要な公共工事を取りやめる」、「こどもを育てやすい環境を造る」など、こういうものの方向性は、個別の内容の如何はさておいて、大きな視点で捉えたその方向性は賛成です。
 そんな中で、たばこの増税がまた議論されています。「増税よりも無駄を無くす」ということからは反対の議論にはなりますが、どこかで増税しなければならないのなら、たばこや酒の増税は消費税や所得税の増税に比べれば私的にはまだ理解できます。例えば消費税が5%から15%になるのと、一箱320円のたばこが1,000円になる同じ3倍ですと、たばこ増税を反対するのはたばこ業界の方が大半で、殆どの国民やまた愛煙家も反対されないでしょう。現に私の周りの愛煙家も同様の意見です。
 しかし、ここまでの議論は納得できるのですが、その増税の基準がなぜ「欧米並み」なのでしょう。政治家や評論家の先生方がたばこ増税に限らず、何かというと比較基準に出すのが「欧米並み」です。確かに基準がないと話もできないでしょうから、ある指標にするのには有益なのかもしれませんが、ある特定の基準だけ欧米並みにしたところで、その他が全く違うためにどこかで無理が生じます。教育や社会保障制度など同じ欧米でも全く違います。また「欧米」と一口に言いますが、そんな広い定義で一括りにするものでもありません。何が問題なのかといいますと、日本人は「欧米並み」というフレーズに弱く、それを言うとそれがあたかも優れているかのように勝手に理解する事です。
 もっと大きな視野で物事を捉えられるようになりたいものですね・・・。