タイ

 最近、仕事関係でお世話になっている方と食事に出かけた時に、お互いの趣味や仕事の考え方などいろいろと話をさせて頂いて、毎度のことながら「いろんな人がいるんやなあ」という気持ちになりました。
 その彼は、早い時は朝の6時から働き出し、遅くは深夜3時くらいまで働くという本当に多忙な毎日を過ごしています。そんな彼は最低でも1年に1度は海外へ行かないと気がすまないようで、年末年始にかけて長期の休暇を取って海外へ出かけています。海外といってもいろいろな国がありますが、彼の好きな海外というのは東南アジア系で、特に「タイ」がお気に入りらしく「タイ語」が話せる事は勿論の事、日本においても多くの「タイ」の友人がいるようです。(その他の国の友人も結構いるようですが。)
彼の旅行スタイルというのは、今の若い人たちの大半の方の旅行スタイルとは違い、必要な荷物と最低限のお金だけを持ち、特に決まった旅行行程など存在しない所謂バックパッカースタイルです。同じタイでも都心部には興味が無い様で、敢えて観光客のいない農村部に行き、現地で知り合った人たちの家に留めてもらったり、食事させてもらったりするようなふれあいが彼の目的です。そんな彼の旅先でエピソードは豊富にあり、酒を飲みながらいろいろな話を聞かせてくれました。その中で特に印象に残った話をひとつ。
「タイや中国など東南アジア系の国々の賃金水準、特に農村部の人たちは都心部の人たちに比べて非常に賃金が低く、日本人の感覚からすればその人たちは相当な貧困で困っていると思っているようであるが、それは全くの勘違いである。一部の例外を除いて殆どの人々は、先祖から受け継いできた家があるので、日本のように自分達の生活の拠点である住宅を無理なローンで購入する必要がなく、また食材にしても自分達の食べる分は自分達で栽培しているし、もし自分達に何か足らない物があれば、物々交換で事済むので、先進国のように何をするにもお金が必要なんて事はなく、逆にお金がそんなに重要でない。だから賃金水準だけで物事を捉えると考え違いをすることもある。」と。しかし最後に彼はこう言いました。
「しかし最近はその農村部にラジオやTVが普及しだした為、若者が都会へ流出を始めた。また親は子供に教育を受けさせる為に非常に高価な教育費という現金を稼がなければならなくなってきた。結局「情報」が入ってきて先進国の後を追いかけてきてしまっている。」と。
 都会の快楽を知らないで過ごしているほうが幸せなのか、知って楽しむ方が幸せなのか、難しいところです・・・。