犯罪被害者救済制度

 先日インターネットのニュースで掲載されていたある記事に目が止まりました。それは、「知人男性を暴行、監禁=女子高生コンクリ事件の元少年」というものでした。1988年に東京都足立区で女子高生を監禁した上で、長期にわたる暴行により殺害し、死体をドラム缶でコンクリート詰にして放置したこの事件は、過去の少年事件の中でも特に凶悪かつ自己中心的犯行で、許し難い事件として非常に世間を騒がせました。その事件に加わった内の一人が、出所後に先述の事件を起こしたというのです。
皆さんはこの出来事をどう捕らえられますか?恐らく私を含めこのコラムを読んでいただいている皆さんの第一印象は、「何でそんな事件を二度も起こすような人を出所させるの?」というものではないでしょうか。
 そういう風に思うことは、私たちが日々安全に、また日々安心して過ごす為にはごく当然の思いですし、当然の権利でもあります。
しかし、逆の立場(犯罪を犯してしまった人)から物事を捉えてみますと、本心から反省し、その犯した罪を一生をかけて償っていくという決意で、被害者への保障や、また自身の生活をしていこうとする場合は、まず仕事をしていかなければなりません。しかし、就職した後や新転地で過去が知られてしまった場合等は、中々その居場所が確保できなくなってしまいます。それは、「そんなことをしたから当然だろう。」と言う意見もありますし、逆に「そんな事ではいつまでたっても更生できないじゃないか。」と言う意見もあります。確かにどちらの意見も正しい意見でありますし、それぞれの立場で状況や思うことが違うのは当然です。また違う見方では被害者側の家族などは、自分の身内がそんなひどい仕打ちを受けているにも拘らず、世間の噂やマスコミの餌食にされて精神を病んだり、普通に暮らすこともできず、転居せざるに得ない状況に追い込まれたりもします。
 これらの意見や状況は、それぞれの思いとして共に交わることのない、また、解決することが非常に困難な課題と言えると思います。ただそれらの中で、工夫や制度の充実度次第では和らげることができる可能性のあるものがあります。それは、「被害者側家族の救済」です。しかし現在の日本の制度では、「犯罪被害者救済制度」というものが存在しますが、遺族に支払われる遺族給付金が1079万円で上限という金額です。更に被害者家族のプライバシーや、生活が守られる法律がまだまだ整備されていませんし、精神的なケアーをする制度なども確立されていません。
 こんな部分からだけでも救済の間口を広げていって欲しいものです・・・。