ウォルター・ミシェル博士

 
 私は人間の欲望というのは頑張って克服するもの、又しなければいけないものと思っていましたが、それを簡単に実行できるある理論を証明する実験を見つけました。1960年代に行ったウォルター・ミシェル博士の実験です。この実験では4歳児達を部屋に招きマシュマロ1個を前に置きます。条件は「今すぐ食べてもいいが、15分間待てればもう一つマシュマロをあげる。しかし我慢できず食べたい場合はベルを鳴して食べていいが、もう一つは食べられない」と子どもに伝えて部屋を出ます。すると子供たちはマシュマロから目をそらしたり、手をたたいたり、数を数えたりとマシュマロから気をそらそうとしていました。この実験結果から分かったことは「欲望を克服するには、誘惑から気持ちを他に向けることで、誘惑を断ち切ることができる」ということです。要は、人間の欲求は克服されるのではなく、そらされ、忘れ去ることで克服したように見えるということです。なるほどよく昔に大人から「悪いことばっかり考えてないで、運動でもして発散しろ」と言われていたことが納得できます。ちなみにこの実験から12年後、彼らについてのアンケートを行った結果、我慢できずに1分以内にベルを鳴らして、マシュマロを食べた子供達は、学校でも家庭でも行動上の問題を抱えている率が高いことが分かり、15分待てた子どもは30秒しか待てなかった子どもよりも、SAT(大学進学適性試験)のスコアが平均して120点高い結果がでたそうです。要は気持ちのそらし方が上手いか下手かの違いで、誘惑を克服できる人とできない人の違いができるというのです。
 そう考えますと、私が以前から失敗しているダイエットなどは、「辛い思いをして空腹に耐え頑張る」のではなく、それを忘れるくらいの楽しいことを常にして過ごせば、成功率は高くなるということでしょうね・・・。