99回の失敗

 
 人が失敗したり、落ち込んでいるとき、また否定されがちなその人の行動を肯定するときなどに色んな言葉や言い回しが使われたりします。たとえば昔のハムのCMで、「ワンパクでもいい、逞しく育ってほしい」もその一つで、子供は一生懸命勉強して一流大学に行き大手企業に就職するのが一番良い生き方とされていたその当時、時代の流れに逆行するそのフレーズに世間は「ハッ」と我に返り人間の生き方の本質を垣間見たように感じたりしました。その他に、「99回失敗しても1回成功すればいい」という言葉も最近ではよく言われます。これも失敗ばかりしている人に、何とか頑張って1回でも成功してもらう励ましの言葉です。人は誰でも失敗したら挫けそうになります。しかし一度でも成功した喜びを感じれば、また次から頑張れますのである意味良い励ましの言葉ではあります。しかしその言葉の意味をよく考えてみてください。言葉通り自分の周りに失敗ばかり繰り返している人がいて、「あなたは99回失敗しても、たった1回成功してくれ」と心の底から言える人がどこにいるでしょうか?何度忠告や指導しても99回も繰り返し失敗されたら普通は見放しますし、周りに迷惑が掛かりすぎます。私の経験では、2回失敗したら、3回目には成功させる人でないと、その失敗の原因や対策を講じない、所謂「深く考えない適当な人」が多いように思えます。先述の「ワンパク・・」という言葉もそうです。それはあくまでもその子の人生に責任を持つ親が発せられる言葉であって、赤の他人が発するのは、あまりにも無責任な発言と思います。  
 当たり前にその言葉通りにするということではないのは解りますが、極端に言うほうがインパクトがあるからと、意味も考えず無責任にこんな言葉を発しないようにしていただきたいものです・・・。