骨髄バンク

 以前、臓器提供をしようと思い妻に相談してみました。妻は元看護士でしたので当然私よりも知識や考えがあり、私のその気持ちは非常に大切な事だと賛成はしてくれましたが、奇麗事だけでなく現実に提供することを見据えた際の問題点などを教えてくれました。
 臓器提供で脳死時に提供できるものと心肺停止時に提供できるものには違いがあり、心肺停止時に提供できるものは、脳死時に提供できるものの半分以下となっています。そう考えますと同じ提供するなら多くの臓器の提供をと考える訳ですが、確かに人の死というものを脳死時点で「死」として判断できるとしても、現実問題として生命の源である心臓が動いている状態で、その人の家族が「脳死ですから本人の意思を尊重して臓器を取り出してください」と本当に言えるのだろうか、と言う事です。また、臓器提供では無いですが、骨髄バンクなどは、登録するのは比較的簡単なようですが、いざ提供となった場合は、肉体的な苦痛を伴う提供を行い、また数日の休養が必要な為、お勤めの方などは有給を取ったり、主婦の方などは家事を協力をしてもらったり、医療機関までの交通費は自己負担したりなどと、肉体的にも金銭的にも負担を強いられます。ただ、これは提供者自身が奉仕の精神で行うために、そのくらいの負担は負担で無い、という事ではありますが、そんな人々の善意だけに頼ったシステムで果たして良いのでしょうか?
 脳死や心肺停止などの心的なものは、社会全体が死に対する考え方や、臓器提供に対する考え方が変わっていく必要がありますが、骨髄バンクなどは、肉体的苦痛を代替させる事はできないにせよ、せめて金銭的なものや時間的な代替や保証が出来るものくらいは提供者に負担させることが無いように、国や自治体がその対策を取る姿勢を是非見せて欲しいものです・・・。