新聞投稿

 先日、新聞の投書欄を読んでいましたら、ある記事に目が留まりました。それは、自転車に乗ってカーブを曲がったら携帯をずっと見ている歩行者にぶつかりそうになったので、「前を見て!」と叫んだら「すいません」と言って事無きを得たことや、また別の日に自転車を乗っていたら、猛スピードで無灯火で交差点へ入ってきた自転車に「危ない!」と叫んだら「うるさいババア!」と罵声を浴びて走り去った事などが書かれ、その方の意見として歩行者の携帯注視や無灯火自転車をどんどん取り締まって欲しいと切に訴えられていました。確かに自動車の無灯火は勿論の事、携帯使用なども取締りが厳しいのに、歩行者や自転車は危険度が少ない為か、取締りをしていた等とはあまり聞きません。しかし、危険な事には違いありませんので、もっとモラル的には、「してはいけない事」の一つとして定着しなければならない事の一つと言えるでしょう。
 私がこの記事を途中まで読んですごいと思ったことは、ぶつかりそうになった瞬間に「前を見て!」とか「「危ない!」と叫ぶ事ができるとっさの判断がこの女性にはできるんだと言う事でした。私なら恐らく「うわっ!」と言ってぶつかっていたであろうその瞬間に、その方は「前を見て!」であるとか「危ない!」と冷静に叫ぶという事ができたからです。ですからどんな凄い人が投稿しているのかと思い、投稿者の住所や年齢を拝見させて頂いたところ、なんと78歳の女性でした。それを見た瞬間、今までの思いから急に別のことを考えてしまいました。
 普通、年齢を重ねると反射神経が鈍くなってきます。運動神経も落ちてきます。バランス感覚も悪くなってきます。その中で、シニアオリンピックに出場できるくらいの能力の持ち主であれば別ですが、普通の78歳では20代の若者とは比べ物にならないくらいその能力は劣っているはずです。そう考えますと、携帯注視が悪いとか、無灯火が悪いという次元をさておいておけば、もしかしたらその女性が「危ない!」とか「前を見て!」と叫んだ状況は、言われた相手から見れば「全然危なくないやん」という状況であったかもしれません。いや、もしかしたらその相手からすれば、「あなたの方が危ないのと違うか?」という感じだったかもしれませんし、もっと極端な事を言いますと一概にそうとは言い切れませんが、高齢者が自転車に乗る事自体が、一般的には危険な事であるように思えたりします。
 そんなことを考えてますと、非常識な事柄は非常識な事として改めるべきではありますが、それ以外の部分では一方的に相手方を非難できる事柄というのは少ないように思えます・・・。