呼ばれ方

 先日、私宛に届いたある封書を見ていて少し考えることがありました。その封書は、日本のある会社から届いた封書だったのですが、その会社の住所が英字で記載されていました。英字で、しかも日本式の住所の表示とまったく逆に、地番から始まり最終的に「 JAPAN] と記載されていました。それを何気なく見ていたら、今まであまり気にしていなかった「逆の表示」がすごく気になりだしました。
 私自身は、生まれも育ちも「JAPAN 」の為、まず都道府県の表示から始まり市区町村、そして町名、地番と、大きなところから小さなところへ絞っていく日本の表示方法に馴染んでいて、それが非常に合理的に感じています。しかし国際的な英字の記載は、逆に小さなところから大きなところへ移行する為、逆から読んでいかないと分からない非常に不合理な表示に思えました。国際的には日本の表示とは逆の表示が常識となっていますが、慣れればそれが見やすいのでしょうか。
 そんな、慣れるとか、慣れないとかを考えていましたら、別々の二人の女性から聞いた、全く同じ言葉を思い出しました。それは、「結婚し、子供ができ、子供が学校へ行くようになってからの私の呼ばれ方は“○○ちゃんのお母さん”とか“○○さんの奥さん”とか、常に○○という人物の枕詞がつく呼ばれ方を、当たり前のように慣れ親しんでいました。でも結婚する以前は“○○さん”と自分自身の名前で呼ばれることが当たり前だったのに、何の不自然さも感じてはいなかったのです。それが最近、パートに出てみて○○という人物とは関係なくストレートに自分自身の名前を呼んでもらえるようになって、なんか自分自身を取り戻したというか、今までの自分は何だったのかというか、複雑な、でも嬉しいような新鮮な気持ちになれました。」という言葉です。
 慣れ親しむと何とも思わず何の疑問も抱かない事が、少し違う観点や状況下では「なんかオカシイぞ」と思うことが多くあるんだと思います。常にあまり人が考えないことに疑問を抱き、「これは何故こうなるのか」「何故こうしか出来ないのか」と考えていれば、新しい発想や思考が生まれてくるのではないのでしょうか。