名張駅

 つい先日の夕刻、用事を済ませるために名張駅前東口を通りかかりました。その時間帯は、会社帰りや学校帰りの人のために、ご家族の方が自家用車で迎えに来るピークの時間帯だったようで、駅前は渋滞になっていました。目的の電車待ちの駐車車両や、通り過ぎる車、路線バス、歩行者や自転車などで、その様子は一直線に並ぶ大都市の渋滞とはまた違って、あらゆる方向からあらゆるものが行き交うという、ほぼ無法地帯の様相を描いていました。その時は「こんなんでよく事故が起きないものだ」と感心しながら通過しましたが、実際に調査したわけではないですが、おそらく事故は多発しているのでしょう。その名張駅前は市民の方々が利用しやすく又、都市計画に基づいて名張の玄関口としてロータリーや緑地、バス停なども整備されている筈なのに、どうしてこのような「無法地帯」が、時間帯によって出来てしまうのでしょうか?
 私たちが納税した税金を使って整備をされているこういった公共工事には、何年も前の計画段階には十分に機能するキャパシティーを持っていても、実際に事業化され完成する頃には現在のニーズに合わないものも見受けられます。それらを事業化させる行政というものは、民間人としての感性や思考しかなく、その仕組みが分からない私にとっては、非常に理解し難いものです。
 今まで私は、その時に公共の事業などについて前述のような疑問を持ったところで、その後は殆ど関心がなくなり、いつの間にか忘れていました。しかし昨年9月に 名張市 は、財政非常時事態宣言を行いました。そうなると私達は、今までのようにすべて行政任せで行ってきた事柄を、今行われようとしている公共の事業や政策が、現在の状況下で本当に必要なのか、それよりもっとやらなければならない事は無いのだろうか、その事業は将来的なニーズにも十分対応できるのだろうか等をしっかりと見据えて意見しなければいけない状況になってきています。更に 名張市は、自主的な地域運営や住民の積極的なまちづくりへの参加などを目的とした、日本でもほぼ初めての試みと思われる(仮)ゆめづくり地域予算制度を創設しました。それは自分たちの街を自分たちで運営していくという「感覚」を養っていこうということではないかと思います。
 そんなことを考えていたら正直な気持ちとして、こう思いました。「今まで行政が責任を持って運営してきた結果として、今のような状況を招いたのではないか。それをこんな状況になったからといって市民にツケを回すのはおかしいのではないのか。」と。
 しかし、同時に「その運営を見て見ぬ振りや、興味を示さずに意見しなかった私たち住民も悪かったのではないか。」とも。 まあ、なってしまったものは仕方がないと考えて、今まで行政に対しあまり興味を示さなかった分、この際よく考えてみようと思います・・・・・。