平均値を取って悪いもの

 最近、何かの中で「**の平均値が**」というような事が出ていた時、私は、「それはおかしい」と感じることがありました。物事の目安を計る基準の一つに、平均値というのがあります。例えば、自動車の平均燃費とか10歳児の平均身長などです。これらは、このあたりの数値で考えて良いという基準ですから、物事を判断する際には非常に参考となる数値です。ただ、本来「平均値」というのは、ボリュームゾーンが中心に近いものに対して使用するものであって、拡散した数値の物に使うものではない事を知らなければなりません。例えば途上国などの平均貯蓄額や平均年収などです。途上国などでは、日本では比較にならないくらいの貧富の差があります。そのごく一部の大富豪の貯蓄を大多数の一般的な人たちも合わせて平均値を取ると、必ず一般的な人たちのボリュームゾーンを超えて数値が出ます。仮に1人が10兆円貯蓄していて、9999人がちょうど10万円を貯蓄しているとします。この合計1万の人達の平均貯蓄額を算出しますとなんと一人平均10億円貯蓄している事になります。たった一人の桁外れの人がいるだけで平均値が中心値からほど遠い結果が出るのです。ですから日本でも例えば貯蓄額の平均値を取るのではなく、貯蓄額の統計を取らなければ、実態が見えてこないという事なのです。
 これは、政府発表の**によりますと、であるとか、日本における家庭の平均**は**です、などの数値については、平均値を示すことによって意図的に誤解を与えるような事が出来てしまうという事です。この数値に関しては、元データを改竄しない限り虚偽ではありませんので、堂々と示すことができます。更にデータというのはその元データをどこで区切るか、またその数値を切上げるのか切下げるのか、四捨五入するのかによっても違った結果が現れるものなのです・・・。