因果応報

 私は仕事上、当然と言えば当然ではありますが、土地の境界や相続などの紛争には良く遭遇します。紛争のきっかけや事情は、それぞれに異なった理由があるのですが結末はおおよその場合、無理難題を主張する人や、頑なに自己主張を曲げない人など所謂「言ったもん勝ち」の場面になることが多いことに気づきます。これはその状況を考えればそうなることは当然で、例えば境界を確定したい人というのは、その土地を売ったり分筆したりと、何らかの動きをしたいがゆえに境界の確定作業に入ります。相続についても、相続不動産を売却や使用したいと考える人は、そうしたいことに何らかの理由があるわけですから、できるだけ早く解決し、売却や使用できる状況にする必要があります。その為相手方にかなりの無理を主張されたとしても、最低限の売却や使用することによる利益が確保されるのであれば、仕方なしに自らが主張を控えて合意し、次のステップに進むことを選択することになります。
 こういったことを何度も目の当たりに経験しますと、最初の頃は因果応報ではないですが、この無理難題を主張した人も別の場面では無理難題を言われて困った状況になったりしているんだろうなと思ったりしていたのですが、長くこの業界に身を置いていますと、同じ人が度々登場することがあり、その度に不当な利益を得ている人がいることに気づいたりします。当然私が見ている範囲がその人の全部ではないので、ずっと利益を得続けているかどうかなんてわかりませんが、私が見える部分が全てそういう結果であれば、少しだけそういう人もいるのかなとか思ったりします。
 私自身としては、至って一般的な日本人的宗教観しか持ち合わせていませんが、それでもそんな風に人を追い込んでまで得る利益を得たいとは思いませんね・・・。